2017年7月9日日曜日

多彩で個性的な生田箏

こんばんは、東です。

今年の七夕ですが、すっかり家では笹飾りこそ
しなくなったとは言え、冷泉家の七夕行事にあやかり
当家もお箏をお出ししました。

普通に通常の山田箏を出すのは私としては
面白くないので、家にある生田箏を全部出して
並べてみましたけども、こうした試みは
初めてなのです。


立て掛けてあるお箏は左から順に
五尺五寸
五尺八寸
長磯(素箏仕立)
長磯(蒔絵仕立)

と、通常のお箏は六尺を基本とするのですが
それは山田箏が生田流でもメジャーに使われる様に
なってからの事です。

生田箏は長さが幾つもあって、京都では
とりわけ六尺を超えて長磯と別名が付く位に
長いのがあります。



通常の山田箏と同じく装飾が少ないのを
素箏仕立と呼びますが、長磯ですと磯や龍頭・
龍尾に蒔絵や寄木細工・鼈甲を貼り装飾性を強調し
別名を大名箏とも呼ばれます。

大坂では六尺より少々短い五尺八寸、通称五八の
寸法が好まれ、名古屋ではもう少し短く
五尺五寸、通称五五が使われる事がありました。

生田箏は山田箏と異なり画一された仕様や装飾が
無くて、多彩で個性的なのが特徴と言えます。


口前の詳細の写真をご覧頂くと、口前の
舌の蒔絵も今物の蒔絵よりも仕事が丁寧でして
長磯箏は特に鼈甲を貼って猫足や口前の枠に細やかに
金蒔絵で若松や唐草模様が描かれてます。





五尺五寸箏の舌蒔絵 四君子柄です。
四君子とは蘭・竹・菊・梅の4種の植物で、
文人に愛されたりデザインや造形でも好まれた。



五八箏の舌蒔絵
金で松に鶴が描かれており
下部には見辛いのですが亀がいるのです。




長磯(素箏)の舌蒔絵
菊尽くしです。



長磯(蒔絵)
舌には蒔絵の代わりに鼈甲が貼られ
口前枠や猫足には細かく金蒔絵で
若松と唐草模様が描かれる。





今ではこうした生田箏を見る機会は減ってしまい、
長磯箏を美術館や博物館のケース越しで見る
程度で実用の機会が殆ど無いのです。
縁あって当家に来たからには、まだまだ
現役で頑張って貰いましょう!!


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