2017年7月17日月曜日

「笹の露」オンライン下合せ・ついに完成!!





5月にスタートした「而今の会」のオンライン下合せでしたが、ついに「笹の露」全曲が完成しました!!

これまで取り組んできた「ジョイントweb演奏会」は、どれも10分内外の曲。
それに対して「笹の露」は地歌箏曲の中でも奥伝曲で時間にして20分以上、前後に2つの手事を持つ大曲です。

まず最初に、大庫さんに三絃本手を全曲録音していただくところから、下合せは始まりました。
その録音を聴いて、箏替手を東さんが、尺八を山口が、それぞれ練習を開始しました。

最初に公開した動画(「チラシ〜後歌の稽古」)は、山口が尺八の最後の転調のところ(→関係記事【「笹の露」尺八の難所】)の練習模様を発表したところからスタートした関係もあって、「オンライン下合せ」は本来の曲の順番とは逆に「後歌」からスタートしました。
場所によっては合口や間合いが難しく、同じ空間で同時に合奏しているわけではないため、どうしても不自然な箇所も残ってしまいました。
しかし「どのように各パートが組み合わさっているか」や、「合奏した時の雰囲気はどうなるか」などを確かめたり、「オンライン下合せ」のために一生懸命練習したりできたことは、離れた場所どうしで演奏会をするメンバー間では大変重要なリハーサルとなりました。
大庫さんと東さんは日々演奏活動・教授活動でお忙しい中、時間をとって練習・撮影にのぞんで下さり、本当にありがたいことでした。


僕は主に、「締め切り催促係」で、毎回モーレツな催促をしてしまいました(どうもスミマセン…)。


尺八奏者にとって、地歌箏曲は「三絃・箏と合奏させてもらう曲」であり、伴奏楽器の立場です。
琴古流は「本手にベタ付け」とよく言われますが、それでも細かな三絃のニュアンスをそのまま尺八の手に写せているわけではなく、あくまで漢文の「書き下し文」みたいな感じというか、尺八としての「デフォルメ」が入った状態です。
今回、お二人の録音や動画を編集させていただくことで、地歌箏曲の糸方の奏法や細かいニュアンス、本手と替手の合い方、尺八の手とは「ベタ」とはいってもかなり違うことなどを、本当に間近で何度も見せていただくことができました。
これこそ、尺八家にとってはまたとない勉強の機会でした。
あまり「お勉強!」したいわけではありませんが、これは本当に勉強になりました。
お二人に感謝しています。


これまでの「ジョイントweb演奏会」では、奏者が2人で、糸方の本手に尺八が合わせるだけでしたので、送っていただいた動画の音をイヤホンで聞きながら、山口の方で合わせていました。
しかし、今回は「3人」の合奏なので、少なくとも毎回2人は「イヤホン撮影」をしないといけません。
結果的に、東さんにも大庫さんにも「イヤホン撮影」をお願いしてしまいました。
大変お世話をおかけしましたが、おかげで「笹の露」全曲を3人で通せました。
3人による「オンラインの共演」として、初めての曲となりました。


「後歌」「後の手事」「中歌」までは、3人のうち2人が映像で、もう一人が「音だけ」の参加でしたが、今回は3人が同時に映像に映るというのも初めてです。
山口が使用しているMacに付属の「iMovie」という映像編集ソフトでは、「横に3画面」の編集ができないため、前半は交互に映像を切り替え、後半は「マンガのコマ割り」みたいな手法で「3人同時」を実現しています。
これにはMacだけではうまくいかず、「iPhoneのiMovie」をも利用して、「縦に2画面分割」「横に2画面分割」と2回の編集を要しました。
しかし、最後にようやく「3人同時」の映像ができたので、とても嬉しいです。


あとは、本番に向けて練習を重ね、「オンライン下合せ」での合口を確認しながら調整していきたいです。
気づけばもう7月も半ばです。
本番まであと1ヶ月!!ほんとうに目と鼻の先に迫ってきました。楽しみです!!





デジタル技術の難しいことは何もわかりません。
私は自分の領分で出来ることしかしませんでしたが、何と濃密な関わりを持って練習が出来た事と これまでにない充実感です。
イヤホンで片耳塞がれた状態で 歌を歌い同時に楽器を演奏し流れている音と合わせることが 想像以上の困難な事と良く分かりました。
実際に同じ場所で相手の動きや息遣いを感じながら合奏をするという事が どれだけ心地よいものか…楽しみです。





ほんにスゴい事と思います。
合わせる音源の流れにどうくっついて
弾いていくかを充分に考えされられました。
後はやはり生身の人間が集まって
どう合わさって弾いていくかを目指す
のみと言えますね。

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