2017年7月29日土曜日

「オンライン下合せ」の舞台裏 2

前回の記事に引き続きまして、今回はメンバー3人の動画撮影環境というか、「どのように動画を撮影しているか」のご紹介をしたいと思います。

1、山口編



撮影場所は、このような6畳の和室です。ここが当方のお稽古場です。なんの変哲もない、賃貸一戸建ての和室です。






床の間をバックに、稽古机と太めの書籍を台にして、その上に100均で買ったスマホスタンドでiPhoneを固定して、ビデオ撮影で撮っています。






iPhoneは、以前使っていた「iPhone4s」を、機種変更したのちも使い続けています。
画質は新しいiPhoneの方がいいのですが、最近のは自動でマイクの感度を調整してしまうようなので、ディミヌエンドをしていると勝手に感度が上がって尺八のボリュームが急に大きくなったりしてしまうのです。そういう機能も、ひょっとしたらキャンセルの方法があったり、他のアプリを使えば解決できるのかもしれませんが、使い慣れているので今だに「4s」のままです。






ちなみに、カメラは背面カメラの方が画質が良いので、かならずこちら向きにしています。
対面のカメラは、画面を確認しながら撮影できるので便利なのですが、画質が落ちてしまいます。
画面合わせには、床柱を画面のセンターに、画面の下を畳の縁に、画面の上を掛け軸の真ん中あたりに、という風に、背景で合わせています。
三脚も持っていて、以前使っていたのですが、これは傾いてしまうことがあるので、最近は水平な台ということで、稽古机などを使うことが多いです。高さは、座奏の場合、iPhoneの高さを自分の胸の高さ位にしています。




編集用のMacです。2009年のポリカーボネイト製MacBook、CPUはIntel Core 2 Duoの2.13 GHz、メモリは4GB、ハードディスクは純正の120GBを1TBに換装しました。使い始めて8年になりますが、まだまだ現役です。
OSは、MacOSX 10.11のEl Capitanです。ついに最近、最新OSにアップグレードできる機種から外れてしまいましたので、一つ前のOSですが、今の所不自由はしていません。
最近のMacは、CDドライブや音声入力端子、そしてノート型のほとんどが通常タイプのUSBポートも省かれてしまっているので、このマシンはなるべく長く使い続けていきたいところです。でも最近、左手首の当たるあたりのパームレストのプラスチックが割れてきてしまっていて…。あとどれくらい現役を続けられるかちょっと不安な今日この頃です。


2、東編

では、私のオンライン下合わせの
ネタバレを紹介させて頂きます。



私の部屋の家具と机に囲まれたこのスペースに
立奏台を置き、お箏を乗せて弾ける形を取ってます。

一面分を置けばギリギリ身動きが取れるので、
録画する分には大丈夫ですが、
出入口の戸を閉めると蒸し風呂状態の中で
弾いております。




PCを開けて取り込んである音源を聴きつつ
弾くのですが、最初はイヤホンを使わずに弾いて
ましたので動きが合わず難儀でしたけども、
イヤホンを挿入装着して弾きますと
大体の動きが合うのです。





撮影モードでタブレット端末を使う時、
この部屋のスペースの関係で机の上にこのまま
乗せて撮る形なのです。

実際にはもう少しアングルを上にして
撮りますが、この時は琴柱の箱や小物入れの
箱を幾つも積んで積んで、高さを調整してます。

ですので、この調整で時間を喰ってしまい

何度も撮り直しております。




3、大庫編

私の撮影場所公開!

私の稽古部屋で 籟盟さんのご指導のもと iPhoneを使い動画撮影をしました。







これもiPhoneだけで撮っているので、ここはカバーだけセット 








自分の最初の録音や、中歌の東さんの演奏をパソコンでイヤホンから聴きながらの演奏動画撮影でした。







 床の間もない、何の変哲もない和室です。 






たまたま置いていた姿見で、都合よくiPhoneの画面が映り、上下左右のバランスを座ったまま確認出来たのは、偶然発見した良い方法です。

2017年7月22日土曜日

「オンライン下合せ」の舞台裏 1

こんにちは、山口です。
いよいよ、「而今の会」演奏会本番まで1ヶ月を切りました。
最後までしっかり練習し、ブログでの情報発信の方も充実させて本番を迎えたいところです。

さて、今回は「オンライン下合せの舞台裏」と題しまして、先週までのオンライン下合せを一体どのようにやって来たのか、「タネ明かし」してみたいと思います。





1、合わせるための「ベーシック・トラック」と、重ね録り「オーバーダビング」


音楽を全く別の場所で、相手の音を聴くことなく演奏すると、当然テンポやタイミングがズレますよね。そうならないように、まずは「テンポを揃える」ためのベースとなる録音をしました。僕はこれを「ベーシック・トラック」と呼んでいます。

ただ、厳密にはこれは用語の意味が違っていて、本当はバンドやポップスのCDなんかを作るときに、まずはリズムギターとベース、ドラム、仮の歌など「音楽の基礎」の部分だけ先に録音してしまい(これを本当は「ベーシック・トラック」という)、あとでそれをヘッドホンで聴きながらボーカルやコーラス、リードギターなどを重ね録り(「オーバーダビング」という)するそうなんですよね。

こうしたやり方はビートルズが発展させたらしくて、中学の頃、ビートルズ・ファンである父から借りたビートルズの歴史の本を読んで、こうした録音技術の概念を知りました。そのやり方を、「遠隔地同士の録音」に応用したわけです。


話を戻しますが、まずは大庫さんに「ベーシック・トラック」として、笹の露全曲の三絃本手のみ録音して頂きました。

ちなみにその音源は、「オンライン下合せ」の最初の頃「後歌」「後の手事・チラシ」の動画ではそのまま使用していますので、お聴き頂くことができます。この二つの動画には、大庫さんは映ってませんよね。大庫さんはベーシック・トラックの「音だけ」の参加で、それをイヤホンで聴きながら、東さんと山口が合奏しているわけです。







しかし、「中歌」の動画では、今度は東さんが歌われ、イヤホンをされてません。これは、まず東さんがお一人で中歌の動画を撮られ、そこから「音だけ」を抜き出した音源を聴きながら、大庫さんと山口が合わせているわけです(山口は「音のみ」の参加)。






2、「3人」が映る動画


ここまでは、メンバー3人のうち、誰かが映像から抜けていましたので、「前歌~手事」ではぜひ映像も「3人の共演」にしたいと思っていました。
そこで脳裏をよぎったのが、このブログの3番目の記事【「而今の会への思い」】でご紹介した、大和証券のCM映像です。




まず最初は、アメリカのサンタモニカで、アコギ一本をかき鳴らすストリートミュージシャンから動画は始まります。しかし、しばらくすると、同じくアメリカのニューオーリンズで港を背景にした味のあるシンガーにバトンタッチし、ニューヨークのバンジョー奏者、ブラジルのパーカッショニストなどに次々と映像が映っていきながら、少しずつ演奏楽器が増えていきます。その中には、日本のギタリスト・Char氏や、篳篥の東儀秀樹氏らもいます。これは面白い演出だなと思いました。ちょっとそれのパロディ風にして、前歌の最初は大庫さんの三絃本手独奏で始まり、途中から東さんの箏、最初の合いの手から山口の尺八、というカメラワークにしてみることにしました。

ただ、実は3人がそれぞれ撮影したのは、本当は全て前歌の最初からの全曲で、「合奏確認用」に3人が聴いて検討を行った音源資料の方には、曲の冒頭から箏、尺八も入っています。


この動画を実現するためには、3人全員の動画が必要です。ですので、最初に録音してもらった大庫さんの三絃本手を、大庫さん自身にもイヤホンで聴いていただきながら、もう一度同じ曲を同じテンポで弾き歌いしていただき、撮影していただいたわけです。ですので、3人ともがイヤホンをしながら演奏録画しているんですね。



ただ、この手法だと、Macの動画編集ソフト・iMovieでは画面を分割しても2人しか同時に映せません。せっかくなので、「3人同時に」映っている画面も表示させたいと思いました。

そこで、「iPhoneiMovie」を利用して、まずは東さんと山口の「縦2分割」の動画を作り(iPhone版のiMovieではそれができる)、できた動画と大庫さんの三絃本手を横並びに表示させることで「画面の3分割」を実現しました。手事の途中からは、この「3分割」の画面表示にしています。





3、「音」の編集


「音」の編集は、Macに付属の「GarageBand」というソフトでやっています。三絃本手、箏替手、尺八にそれぞれ1トラックずつ割り当てて、合奏のタイミング調整はもちろん、各楽器のボリューム調整、ステレオの調整(箏は左スピーカー寄り、センターは三絃、右スピーカーに尺八)をしています。音のエコーやリバーブ等は一切かけておらず、「iPhoneやタブレット等、撮影機材のマイクが拾った音そのもの」にしております。








こうした「合奏動画」の撮影は、洋楽器では結構な数がYouTubeに出回っていますが、純邦楽、それも地歌箏曲で取り組んだのは「而今の会」が初なのではないかと思います。

この記事を読んで興味を持たれた方は、ぜひまた「オンライン下合せ」の動画をご視聴頂いたり、あるいはお知り合いの奏者同士で撮影に挑戦してみたりされてはいかがでしょうか?




こうした「動画」に面白さを感じる古曲ファンが増え、YouTubeの三曲合奏の方も活況を呈したならば、また新たな地歌箏曲の展望が開けてくるかもしれないと思っています。

2017年7月17日月曜日

「笹の露」オンライン下合せ・ついに完成!!





5月にスタートした「而今の会」のオンライン下合せでしたが、ついに「笹の露」全曲が完成しました!!

これまで取り組んできた「ジョイントweb演奏会」は、どれも10分内外の曲。
それに対して「笹の露」は地歌箏曲の中でも奥伝曲で時間にして20分以上、前後に2つの手事を持つ大曲です。

まず最初に、大庫さんに三絃本手を全曲録音していただくところから、下合せは始まりました。
その録音を聴いて、箏替手を東さんが、尺八を山口が、それぞれ練習を開始しました。

最初に公開した動画(「チラシ〜後歌の稽古」)は、山口が尺八の最後の転調のところ(→関係記事【「笹の露」尺八の難所】)の練習模様を発表したところからスタートした関係もあって、「オンライン下合せ」は本来の曲の順番とは逆に「後歌」からスタートしました。
場所によっては合口や間合いが難しく、同じ空間で同時に合奏しているわけではないため、どうしても不自然な箇所も残ってしまいました。
しかし「どのように各パートが組み合わさっているか」や、「合奏した時の雰囲気はどうなるか」などを確かめたり、「オンライン下合せ」のために一生懸命練習したりできたことは、離れた場所どうしで演奏会をするメンバー間では大変重要なリハーサルとなりました。
大庫さんと東さんは日々演奏活動・教授活動でお忙しい中、時間をとって練習・撮影にのぞんで下さり、本当にありがたいことでした。


僕は主に、「締め切り催促係」で、毎回モーレツな催促をしてしまいました(どうもスミマセン…)。


尺八奏者にとって、地歌箏曲は「三絃・箏と合奏させてもらう曲」であり、伴奏楽器の立場です。
琴古流は「本手にベタ付け」とよく言われますが、それでも細かな三絃のニュアンスをそのまま尺八の手に写せているわけではなく、あくまで漢文の「書き下し文」みたいな感じというか、尺八としての「デフォルメ」が入った状態です。
今回、お二人の録音や動画を編集させていただくことで、地歌箏曲の糸方の奏法や細かいニュアンス、本手と替手の合い方、尺八の手とは「ベタ」とはいってもかなり違うことなどを、本当に間近で何度も見せていただくことができました。
これこそ、尺八家にとってはまたとない勉強の機会でした。
あまり「お勉強!」したいわけではありませんが、これは本当に勉強になりました。
お二人に感謝しています。


これまでの「ジョイントweb演奏会」では、奏者が2人で、糸方の本手に尺八が合わせるだけでしたので、送っていただいた動画の音をイヤホンで聞きながら、山口の方で合わせていました。
しかし、今回は「3人」の合奏なので、少なくとも毎回2人は「イヤホン撮影」をしないといけません。
結果的に、東さんにも大庫さんにも「イヤホン撮影」をお願いしてしまいました。
大変お世話をおかけしましたが、おかげで「笹の露」全曲を3人で通せました。
3人による「オンラインの共演」として、初めての曲となりました。


「後歌」「後の手事」「中歌」までは、3人のうち2人が映像で、もう一人が「音だけ」の参加でしたが、今回は3人が同時に映像に映るというのも初めてです。
山口が使用しているMacに付属の「iMovie」という映像編集ソフトでは、「横に3画面」の編集ができないため、前半は交互に映像を切り替え、後半は「マンガのコマ割り」みたいな手法で「3人同時」を実現しています。
これにはMacだけではうまくいかず、「iPhoneのiMovie」をも利用して、「縦に2画面分割」「横に2画面分割」と2回の編集を要しました。
しかし、最後にようやく「3人同時」の映像ができたので、とても嬉しいです。


あとは、本番に向けて練習を重ね、「オンライン下合せ」での合口を確認しながら調整していきたいです。
気づけばもう7月も半ばです。
本番まであと1ヶ月!!ほんとうに目と鼻の先に迫ってきました。楽しみです!!





デジタル技術の難しいことは何もわかりません。
私は自分の領分で出来ることしかしませんでしたが、何と濃密な関わりを持って練習が出来た事と これまでにない充実感です。
イヤホンで片耳塞がれた状態で 歌を歌い同時に楽器を演奏し流れている音と合わせることが 想像以上の困難な事と良く分かりました。
実際に同じ場所で相手の動きや息遣いを感じながら合奏をするという事が どれだけ心地よいものか…楽しみです。





ほんにスゴい事と思います。
合わせる音源の流れにどうくっついて
弾いていくかを充分に考えされられました。
後はやはり生身の人間が集まって
どう合わさって弾いていくかを目指す
のみと言えますね。

2017年7月9日日曜日

多彩で個性的な生田箏

こんばんは、東です。

今年の七夕ですが、すっかり家では笹飾りこそ
しなくなったとは言え、冷泉家の七夕行事にあやかり
当家もお箏をお出ししました。

普通に通常の山田箏を出すのは私としては
面白くないので、家にある生田箏を全部出して
並べてみましたけども、こうした試みは
初めてなのです。


立て掛けてあるお箏は左から順に
五尺五寸
五尺八寸
長磯(素箏仕立)
長磯(蒔絵仕立)

と、通常のお箏は六尺を基本とするのですが
それは山田箏が生田流でもメジャーに使われる様に
なってからの事です。

生田箏は長さが幾つもあって、京都では
とりわけ六尺を超えて長磯と別名が付く位に
長いのがあります。



通常の山田箏と同じく装飾が少ないのを
素箏仕立と呼びますが、長磯ですと磯や龍頭・
龍尾に蒔絵や寄木細工・鼈甲を貼り装飾性を強調し
別名を大名箏とも呼ばれます。

大坂では六尺より少々短い五尺八寸、通称五八の
寸法が好まれ、名古屋ではもう少し短く
五尺五寸、通称五五が使われる事がありました。

生田箏は山田箏と異なり画一された仕様や装飾が
無くて、多彩で個性的なのが特徴と言えます。


口前の詳細の写真をご覧頂くと、口前の
舌の蒔絵も今物の蒔絵よりも仕事が丁寧でして
長磯箏は特に鼈甲を貼って猫足や口前の枠に細やかに
金蒔絵で若松や唐草模様が描かれてます。





五尺五寸箏の舌蒔絵 四君子柄です。
四君子とは蘭・竹・菊・梅の4種の植物で、
文人に愛されたりデザインや造形でも好まれた。



五八箏の舌蒔絵
金で松に鶴が描かれており
下部には見辛いのですが亀がいるのです。




長磯(素箏)の舌蒔絵
菊尽くしです。



長磯(蒔絵)
舌には蒔絵の代わりに鼈甲が貼られ
口前枠や猫足には細かく金蒔絵で
若松と唐草模様が描かれる。





今ではこうした生田箏を見る機会は減ってしまい、
長磯箏を美術館や博物館のケース越しで見る
程度で実用の機会が殆ど無いのです。
縁あって当家に来たからには、まだまだ
現役で頑張って貰いましょう!!


関連記事【本日は七夕のお晩でござる。】H29.7.7 東 啓次郎の琴・三味線馬鹿一代(ブログ)

2017年7月2日日曜日

而今(にこん)の会、チラシの完成






何度もなんども しつこい私の注文に応えて、今回デザインをお願いした山口氏の渾身の作 チラシが完成しました。
何もないところから、伝えたい沢山の情報を吟味し 一目で必要な事が目に飛び込むチラシのデザインを仕上げるとは大変な作業です。
現在発注中、明日出来上がる予定です。
こちら長野県の皆さんのお目に止まるよう あちらこちらに置かせて頂きます。(大庫)





気がつけば、もう7月!!
時の流れは早いですね。

さて、実は「而今の会」のチラシ作成も、IT部門担当の山口がさせていただきました!

私事ですが、学生時代は和装で「純日本の生活様式」を探求し、電話やテレビも家になく、「西洋合理化文明」に反意を表明していた山口は、当然パソコンが全くできず、大学の講義で必修だった「情報基礎」の講義も極めて不熱心、「スイッチを入れて電源を付ける」ことだけが辛うじてできるに留まり、卒業論文がパソコン打ちで提出のため、妻(当時は結婚前ですが)に全て打ってもらって提出という有様でした。

ところが、大学卒業直後、衝撃の出会いでパソコンスキルが激変します。

それは、、、、、、、、、

Macとの出会いです。


上記の「情報基礎」で、パソコンの先生がある日「マッキントッシュというパソコンもあるんですよ~」と見せてくれた、半透明のスタイリッシュなノートパソコンがなぜか脳裏に残っており、古本屋で出会ったとあるパソコン雑誌がきっかけで、猛烈なMac熱」に目覚めました。それからが躍進的です。

いまだにその雑誌は手元にあります


・電気屋さんに行って、インターネットの契約
・入学時に両親の勧めで買い、それ以来電源ボタンを数度しか押したことのないWindows98パソコンを起動
・「特打」というタイピングソフトを購入してインストール、指一本の入力からブラインドタッチ可能に
・ヤフーオークションで、自分の最初のMac2000年式 iBook SE)を落札
OSのインストールや初期化、ソフトウェアのインストール・アンインストール、データのバックアップなどが可能に


学生時代には考えられなかったこうしたIT環境&スキルが、怒涛のように翌年の自分のものとなりました(笑)


好きこそ、ものの上手なれ、ですね。
尺八熱よりMacの方が上回っていた時期もあったくらいです。

こわれてしまいましたが、記念すべき初Macは大切に保管しています



それはさておき、この2年くらいにようやく、この「IT熱」と「邦楽」が結びついて、ひとつの形になったような気がします。

昨日の記事で大庫さんが「何か繋がった気がしました。」と書いてありますが、僕もこの「而今の会」の取り組みで、これまでの人生の色々な要素が繋がってきている感じがしています。

僕は、チラシのデザインにしても、動画の編集やwebデザインにしても、専門的に学んだことはありません。Macが好きなので、本屋さんでデザイン関係とかの本をパラパラとめくり「いいな~~」と思ったりしたくらいです。今回は大庫さん、そして大庫さんをとおして「しるしプロジェクト」の近藤さんから、たくさんのアドバイス、ご教示、添削を頂いて完成しました。ある程度時間がかかりましたが、自分としても楽しく、いい経験をさせて頂きました。

完成したチラシを目の当たりにすると、嬉しい気持ちになり、会が近づいてきていることの実感が湧くものですね。


ちなみに今回、しるしプロジェクトの「葉月の陣屋」というイベント内に、お茶席地酒「今錦」の呑みくらべ、そして「而今の会」の演奏会がある、という位置付けですので、どうぞよろしくお願いいたします。
お茶と地酒(なにせ、「笹の露」(酒)ですからね!)もこだわって準備されていますので、どうぞお楽しみに。ぜひ、足をお運びくださいませ。(山口)

2017年7月1日土曜日

而今の会のジャーナル記事の事









邦楽ジャーナル7月号が徐々に全国に届いておりますが、
メンバーの中で私が一番先に記事を読めたので
ちょっと感想を書かせて頂きます。
私個人もこれまでに邦楽ジャーナル様とは色々と
ご縁がありまして、それこそ創刊の年に私の邦楽人生が
スタートした年なのです。
これまでにも投稿記事・依頼を受けてのコラムと
幾つか書かせて頂いておりますけども、インタビュー
形式での接触は初めての事で、些かこそばゆく
感じました。
とは言うものの、通常のインタビューと違い
田中編集長から頂いたウェブ上での幾つもの質問に
答える形式で、対面式の形式でない分
気が随分と楽になれたおかげで、落ち着いて
答えさせて頂きました。
で、改めて出来上がった記事を読ませて頂くと
破格の扱いで1ページ強に渡って頂いた質問の回答を
コンパクトにまとめてあり、我々而今の会の
コンセプトを端的に伝えているのを感じました。
記事のイラストが印象的で我々3人の似顔絵が
分かり易く描かれ、加えてオンライン下合わせの状況
で使っているイヤホンのコードがシュッと耳元に
添えられている点も特徴を感じさせます。
而今の会のアピールを示す狼煙(のろし)となり得る
今回の記事ですけども、自然体で気負わずに
発信してこれからの三曲合奏のあり方を示して
行きたいです。(東啓次郎)




当たり前に山田流が身の回りにあった環境から一転、私の生活する場は山に囲まれた静かな街となってから 毎月東京にレッスンに通い続けていたものの、好きな古典は思うようには出来ませんでした。
そこで、自分に出来る古典以外の事に果敢にチャレンジしている頃出会っていたのが東さんでした。
そして気がつけば創刊時からの長い年月 色んな形で関わりながら邦楽ジャーナルの情報にずっと支えられていたのだと気がつきました。
どちらかというとアナログ人間の私。やるとなるとかえって作業に時間が掛かる為 必要に迫られてしかデジタル機器は使わない(使えない)私が web演奏会やオンライン下合わせなどが 出来るようになるとは、手取り足取りいつもご指導下さる籟盟さんのお陰なのはいうまでもありません。
そんな私を駆り立ててくれた「而今の会」を、邦楽ジャーナルで紹介して頂けた事は これまでの私の歩みの原点回帰となるような気がしています。
奇しくも すぐ後のページには 籟盟さんが尊敬して止まない山口五郎先生を語る記事。何か繋がった気がしました。(大庫こずえ)





『邦楽ジャーナル』は、熊大に在学中、部室に創刊号から全号そろっていて、特に1年の時には講義の合間に部室にこもって読みふけっていました。地方出身で、初めての師匠のもとでは日常のお稽古通いしか経験のない自分にとって、『邦楽ジャーナル』は邦楽界の広い世界を初めて知るきっかけであり、「自分以外に若い人で尺八をしている人がいるんだ!!」というレベルのところから始まって、琴古流や山口五郎先生という大きな存在と出会い、たくさんの尺八奏者、地歌箏曲の演奏家の方々について知ることができました。また通販でものすごい大量のCDの取り扱いにびっくりしました。学生時代のバイト代の多くは、琴古流や三曲合奏の音源CDにつぎ込みました。また、東啓次郎さんを初めてお見かけしたのも『邦楽ジャーナル』の誌面上で、まさか10数年後に共演の機会を得るようになるとは、そのときは想像すらしていませんでした。

この度、邦楽ジャーナルの田中編集長には、我々「而今の会」を取材していただき、こうして記事にして下さって、心より感謝しております。電話での「取材、3人とも離れてますけど、どうやってやりましょうかね」という話から始まって、Facebookグループを利用して「プレスルーム」を設置し、編集長がインタビューを書き込まれたのに3人がそれぞれ回答するという「オンライン取材」なる方法を思いつき、提案させていただくことができました。取材なさっている田中編集長も含め、4人が全く別の場所にいるにもかかわらず、こうして「取材」して頂き、記事にしていただいたのは、これもまた「而今の会」らしいなと思います。

ただ、僕は「而今の会」の最も大きな特徴は、こうした「オンライン」の利用やIT機器、ブログやSNSといったメディア発信であるとは捉えていません。そうしたことは、あくまで「手段」であり、「而今の会」の一番の目的は「居住地や流派、演奏キャリアに左右されず、古曲を愛する者同士が集まり、対等な『音楽仲間』『同志』として地歌箏曲を楽しんで演奏していく」ことにあるわけです。メンバーが遠隔地に住んでいて、さらに日本全国の様々な方に「而今の会」の試みや音楽を発信していきたいので、IT機器を援用した合奏やオンラインでのメディア発信をしているということです。そうしたことを「オンライン取材」でもお答えしましたところ、僕のこうした気持ちを酌んでくださり、本当に読みやすく伝わりやすい記事にまとめてくださいました。ちょうど、この写真に写っているところの次のページに載っています。ぜひ誌面を手にとって頂き、ご覧いただけましたら幸いです。(山口籟盟)