2017年5月6日土曜日

兼業尺八家・山口籟盟の日常

こんにちは、山口です。
今回は而今の会の「メンバーの素顔」ということで、東さんから記事のリレーがスタートしています。
僕は本業が別にある「兼業尺八家」ということで、いったい普段どのような暮らしをしているかについてご紹介してみたいと思います。




平日は、小学校教員をしていますので、6:00に起床、7:00過ぎに出勤しています。
3年前までは、自宅のアパートが音を出せる環境ではなく、なおかつ勤務先まで車で1時間・道のりにして40km以上ありましたので、筑後川河川敷での朝練ばかりでした。

今はそれに比べて、1戸建ての貸家に住み、お稽古できる座敷もあり、勤務先もわずか9分(!!)に改善されたので、本当に恵まれた環境です。




出勤してからは、とにかく公務優先ということで、脇目も振らず(!?)お仕事をがんばっています。朝8:30から夕方5時までが勤務時間ですが、その間はほとんど生徒の対応のため授業準備の時間がとれないので、実際には朝到着してから始業までと、終業時刻から夜7時くらいまでの間に翌日のノート準備や社会の授業プリント作成、理科の事前実験などを行っています。あと、テストの丸付けや学校行事の準備などもあります。今年度は6年生の担任なのですが、勉強はもうほとんど中学の内容に近づいていて難しいので、準備にも気を使います。勤務先にいる間は、脳裏から尺八に関することはほぼ消えています。




…で、夜7時に帰宅し、夕食を頂いてからがようやくお稽古の時間になります。あまり夜遅くまではできないので、食事をしてしばらく休憩してから、30分くらいでしょうか。奥傳曲1曲を通せたら、「ああ〜〜!今日はちゃんと練習できた〜〜!!」という感じですね。忙しくて退勤が遅くなった日は、楽譜を広げる時間も惜しんで「一二三鉢返調」だけとか、「六段」だけとか、もっとひどいと「鹿の遠音」のムライキまでして「レロー」とか、そんな時もあります。とにかく、与えられた環境の中で極力ねばってなんとか吹いています。


そのあと、皿洗い、子どもの寝かしつけなどでドタバタして、自分自身が入浴して風呂からあがると、もう1日が終わったという感じで(ネットとかFBのチェックとかはしていますが)、怒涛のように毎日が流れていきます。お風呂から上がった時に、顔の表面が乾燥しないように、湯布院で買った温泉の濃縮液と、自然派化粧水を塗り、翌日の尺八を吹けるコンディションを維持しています。冬は特に乾燥肌になりやすいので、マスクをつけて寝ています。

冬季は職場でも、生徒の前とか、マスクを外すべきタイミング以外はマスクをはめたままが多くなってしまいます。尺八の調子の維持には、もともと音の調子がすぐに落ちてしまいやすかった過去の苦い経験もあって、非常に気を使ってしまいます。



尺八は、中継ぎで折りたたむと持ち運びしやすい楽器なので、基本的にいつも肌身離さず常に持ち歩いています。カバンの中には必ず吹料の利道道仁銘八寸管、つゆきり、そして三浦琴童譜(乾坤の2冊で本曲36曲がすべて収められているもの)の3点セットが入っています。



この習慣は高校時代、父の友人でフォークギターのセミプロの方(父もその方も教員でした)が僕の前で「ジャラッ」と小銭入れを見せてくれ、その中に入っているギターのピックを指差しながら「ミュージシャンってのはね、常にこれを持ち歩いているんだよ」と語ってくださった思い出が大きく影響しているように思います。


休みの日は休みの日で、金曜日の後のバタンキューで土曜の朝は遅めに起きてしまい、家族で出かけたりとか、買い物をしたりとかあれこれあるので、結局お稽古ばかりはできません。子どももまだ小さいですしね。土日も、奥傳曲を2〜3曲吹けたら「ああ〜〜!今日はちゃんと練習できた〜〜!!」という感じです。月に1回「web演奏会・10分で琴古流本曲」の『収録』があるので、そういう時は午前中いっぱい座敷が『立ち入り禁止』となり、紋付に着替えて演奏を撮影しています。午後はそのアップの作業や解説文の執筆などになりますね。「多重録画」の場合は、Macで合成作業や書き出しに時間がかかるため、もう丸1日の作業となります。…そう考えると、家族から見ると、月の4分の1は尺八にかかり切りになっているように見えるでしょうね…




なかなか「兼業」も思うように尺八ばかりに時間を使えないのですが、大好きな琴古流尺八で、本曲や地歌箏曲を演奏することができて、ネットでも自分の書きたいことを自由に執筆できて、YouTubeが中心ですが時々リアルな場で演奏できて、今はこうして「而今の会」の本番に向けてあれこれ自分なりに工夫できているので、これは本当にありがたい境遇だと最近しみじみ感じております。

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