2018年7月31日火曜日

【而今の会・webゆかた会『夕顔』】


暑中お見舞い申し上げます。
記録的な酷暑が続きますが、皆様どうぞご自愛下さいませ。

さて、このたび而今の会では、webゆかた会」と銘打ちまして、再びメンバー3人での「オンラインの共演」による三曲合奏公開を企画いたしました。曲は「夕顔」です。

地歌箏曲をされている方には今更ご説明するまでもない有名曲ですが、菊岡検校作曲による京風手事物で、内容は『源氏物語』の「夕顔」の巻の内容を簡潔にまとめたものとなっております。地歌三絃:東啓次郎、山田流箏曲:大庫こずえ、琴古流尺八:山口 翔の演奏でお届けいたします。

昨年夏のライブ演奏以来の京風手事物でしたが、三絃本手と箏・尺八が半拍ずれる「打ち違い」や、「掛け合い」などが多用されており、「オンラインの共演」ではきっちり合わせるということが中々に難しく、練習・準備には大変気合が入る展開となりました。しかし、こうして無事に完成し、公開させて頂けるというのは、感慨もひとしおです。実際に自分たちの演奏を聴いてみると、こうした合奏形態による不自然さが若干感じられる場面も無くはないですが、地歌箏曲を愛する奏者同士、場所が離れていてもこうして共に合奏を楽しむことができるのだという、そしてこれまで大切に伝承されてきた地歌箏曲を「音楽」として楽しむことは本当に素晴らしいのだということを発信するメッセージと受け取っていただければ幸いです。また、こうしたメッセージに共感していただけましたら、是非ともシェア・リンク等で広めて頂けたら大変嬉しいです。

以下、メンバーによるコメントです。


〇夕顔はそれこそまだ学生の内からお稽古を付けて頂いた曲ですが、習得については随分と色んな意味で苦労させられました。

とりわけ歌う声の何とも高い事にほぇ~とたじろぎ、手事のツボの行き来の縦横無尽ぶりにもまたひょえぇ~とのけ反ったものであります。

キーを下げて徐々に歌い慣れる形と、諦めずに動きを覚える事をとにもかくにも繰り返してはどうにか動ける形となりそれがいつの間にか自分の好きな曲の一つと化していたのでした。

今回の演奏では初めてメインの三味線を弾かせて頂きましたけども、流儀の違いの事もありお箏の流れが普段私が弾くのとはかなり違う事に驚き、山田のお箏のキレのスゴさにカルチャーショックを受けました。

私は尺八も吹きますけども、同じ琴古ながらも結構違うものを感じましたが、やはり三味線がしっかりしないと万事進まないのだと痛感してます。
(東 啓次郎)

〇「夕顔」というポピュラーな地歌に この度改めてじっくりと向き合ったことにより、昔何気なくお稽古をして頂いた中の一つとはいえ この曲から 原田東龍・佐藤陽子両師匠から 生田流とそれ程かけ離れた訳ではない歌の 山田流ならではの品格のある流麗な表現の美しさを我が心に刻み混んで頂いたのだと気付きました。
その歌を封印しての今回の役割には、実際に録音する段階に至り 思った以上の困難さに手こずる事となりました。
ドラマチックな内容でも 決して大袈裟にならず 静かに淡々と美しく歌う中で 歌詞の内容を伝えるのが地歌の良さだと この曲のお稽古で教えられました。
先人は 違う旋律のお箏を付ける事により、純粋な箏浄瑠璃の山田曲とは違う形で 「夕顔」のその魅力を引き出したのだと 今回新たに感じた次第です。
(大庫こずえ)

〇「夕顔」は尺八吹きの中でも人気曲の一つだと思います。京風手事物の整った形、美しい旋律、演奏していて心地よい曲です。しかも、長さも10数分程度と古曲の中でもあまり長い方ではなく、地歌箏曲の魅力を味わいやすい楽曲であると思います。

私事になりますが、琴古流の「夕顔」をお習いして何度となく合奏をさせて頂きましたが、その度に疑問に思っていたのが、「掛け合い」の際の尺八の手が、結構箏と違っているという点でした。「琴古流はベタ」というのが一般的な認識かと思いますが、それにしても出だしが反拍子ズレていたり、全く旋律そのものが違ったりしているところが目立つのです。しかし、今回の合奏でその疑問が氷解しました!聴いて頂いたらお分かり頂けると思いますが、なんと山田流の手とピッタリ一致するのです!!山田流の箏の手付けは、生田で一般的な八重崎検校の手とは少し違っているんです。荒木竹翁が長瀬勝雄一の協力のもとに作成したという琴古流外曲の手付けは、やはり山田流の要素が色濃く流れていたのですね!

夕顔は「初伝曲」として、尺八を始めて割と早い段階でお稽古やおさらい会での演奏という流れになりやすい曲ですが、自分自身もこんなに根を詰めて、毎日毎日一生懸命練習したのは、本当に久しぶりです。「旋律が分かりやすい曲ほど、上手な演奏を目指すのは本当に大変なこと」なのだと痛感しました。自分の演奏を録音して聴いてみたり、お糸のメンバー2人の音源と合奏稽古をしたりを繰り返し、旋律の隅々までを自分の身体や精神に馴染ませるように心がけました。いい勉強となりました。

「オンラインの共演」では、実際に同じ場所でお互いの生音を聴きながらの演奏ではありません。しかし、リアルな場での合奏とは一味違った経験や練習を重ねることができます。こうしたスタイルも「古曲」「地歌箏曲」の一つの有り様として、「減り続けている」と話題の邦楽人口の現状や、それでもなお残り続ける旧態依然とした敷居の高さ・堅苦しさに、一矢でも報いるきっかけともなりましたら幸いです。(山口 翔)

2018年1月1日月曜日

【而今の会・平成30年新春web演奏会『八千代獅子』山田流・生田流合奏】

新年明けましておめでとうございます。
「而今(にこん)の会」でございます。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

※「而今の会」の活動コンセプトや発足の経緯については、こちらへ。


この度は「而今の会・平成30年新春web演奏会」と銘打ちまして、
純邦楽の演奏を通して皆様に少しでもお正月気分を味わって頂こう、
折角のお正月なので、日本の伝統的な楽曲を聴きやすい形でお届けしようと、
メンバー三人で演奏を収録し、「演奏動画」という形で公開させて頂いた次第です。



そもそも、この企画の発端は、夏に開催しました
「葉月の陣屋、而今の会演奏会」の打ち上げで、
次は、何する??」という話題の折、
「新春に、web演奏会でもしましょうか!」との発言がきっかけでスタートしました。
メンバーが長野県、静岡県、福岡県と、それぞれ遠くに離れているため、
なかなか実際に集まっての合奏や演奏会出演が難しく、
それならば、これまでの「ジョイントweb演奏会」や「オンライン下合わせ」のような
「ネット上での三曲合奏」で演奏を発表しようと思いついたのです。

選曲にあたっては、新春にふさわしい祝儀曲であること、
聴きやすく長すぎないこと、
地歌箏曲の中でも知名度が高いこと、
そして生田・山田の両流で合奏可能なことなどから、
「八千代獅子」に決定しました。
「両流で合奏可能」とはいっても、曲のテンポや伸び縮み、
マスなど様々な相違点があり、
今回は山田流を本手としてそちらに基本的に合わせるように致しました。
また、通常は三絃が本手、箏が替手という演奏パターンが多い中、
「而今の会ならではの演奏を」ということで、本手を山田流の箏本手とし、
三絃なしの箏二面に尺八を加えた形で合奏しています。


《メンバー3人より一言》

初学曲と雖も 奏者の技量が上がればそれだけ表現の上で聴く者を惹き付ける名演となるのが 東西問わず古典と言われる音楽の魅力ではないでしょうか…
自らの奏でる音一つ一つに向き合いその行方を確かめながら 聴く人の心に響く演奏をするという事 それが私の目指すものです。
このWeb演奏会は、客観的な自己分析を余儀なくされるという ともすればお家芸山田流と自惚れがちな私に 襟を正す良いきっかけとなりました。
(大庫こずえ)


今回は大庫さんが弾く山田のお箏が
タテですので、普段弾いている生田の間尺
よりも短くテンポが異なり、とりわけ
立ち上がりが早くて慣れるまで
何度も弾き直してました。
それと、打ち替えの件の詰め込み具合も
1.5倍速く感じて六と斗の半押しと
強押しの押し直し(生田の手は少々厄介)
切り替えが相当に素早くしないと山田の流れに
乗り遅れるので必死()でした。
ですので、同じ曲でも間尺やノリがこうも違うものだと
改めてカルチャーショックを感じてます。
とは言え、そうした違いを越えて理解して共に
弾くのがこの会の主旨なのだと実感しております。

そう言えば、八千代獅子の解説を見て
おりますと獅子は兎を得る事にも
全力で取り組むとあります。
八千代獅子が初歩曲と言えども大曲と
変わらずに全力で接するべきなのだと
改めて感じるものがありますね。
(東 啓次郎)


「八千代獅子」を提案した理由のもう一つに、実は以下のような出来事もあったんです。

私事ですが、僕は本業が小学校教員なんですが、担任をしている小6の音楽の「鑑賞CD」を手に取ってみてビックリ!なんと、「和楽器」の鑑賞教材として、中能島欣一師、山口五郎師らによる「八千代獅子」が収録されているではないですか!!早速「而今の会」のメンバーにも音源を聴いて頂いたりしました。実はかくいう自分も、「山田流の八千代獅子」を本手・替手・尺八のフルバージョンの合奏で聴いたのは、これが初めてでした。感想は「粋だなぁ!」の一言で、素晴らしい名演であったのはもちろんなんですが、本当に「山田流箏曲」にしっかりとなっていたのは当然なのですが、やはり驚きの感動がありました。

こういうのも「何かの縁」なのかなとも思い、上記の事情に加えてこうしたことも提案の際にお話しし、同曲を推薦したような次第です。

尺八をお習いする際は、この曲はご存知でしょうが「初傳曲」として、習い始めの頃にお稽古する曲となります。しかし、数ある地歌箏曲の中でもとりわけ旋律が特徴的で印象に残りやすいものであり、楽曲としての完成度、芸術性の高い一曲であるように感じます。曲の長さもそんなに長くないですし、普段純邦楽や三曲にはあまり接する機会の少ない方にも、聴いて頂きやすい楽曲なのではないかと思います。

加えて、関西での修行時代、師匠が師事されていた故・松村蓬盟先生がNHKラジオの新春の放送で演奏なさっていたのが記憶に残っている曲でもあります。松村先生は師匠と同席させて頂いた奈良での勉強会の時にも「初傳の曲だからといって、絶対あなどってはいけません。初傳の曲でも奥傳の曲でも、どの曲でも本当に合奏の機会をありがたく感じ、全力で曲を勉強しなくては」というようなお言葉を述べておられました。自分の修行時代の中でも、今日に至るまで自分の中での三曲への姿勢を作り上げて頂いた、とりわけ大切な思い出のうちの一つです。

「オンライン下合わせ」を行った際、大庫さんから尺八の合わせ方について重要なアドバイスを頂き、僕自身の尺八の合奏の考え方を大きく前進させて下さいました。やはり、尺八は合奏させて頂くのが最大の勉強ですね。本当にこのような機会を頂き、ありがたく思っております。
(山口籟盟)




『八千代獅子』:地歌・胡弓曲。本調子手事物。獅子物。初世藤永検校移曲。作詞者不詳(園原勾当とも)。原曲は尺八曲で、政島検校が胡弓化し、それをさらに三絃に移したものという(「歌系図」)。手事物は「大ぬさ」(1687、貞享4以前成立か)にある「獅子踊」の器楽部を発展させたもので、同所の注に「八千代」と記されるものが原曲か。「大ぬさ」の「獅子踊」と「八千代獅子」との比較演奏例は、平野健次監修「三味線古譜の研究」(東芝EMI1983)に収録。詞章に豊年の吉兆とされる松竹梅を詠み込む。手事は三段からなり、段の区切り方は流派によって異同があるが、各段変奏度の少ない同旋律の反復に近い。箏の手付は地域・流派によってさまざま。平調子のものが一般的であるが、大阪では市浦検校手付の雲井調子のものもあり、東京では米川琴翁の本雲井調子の手付も行われる。山田流でも雲井調子。三絃替手(三下り)は国山勾当作曲とも。全曲通して「万歳獅子」との打合せも行われる。かつては手事部に歌を付けた「井戸替八千代」(北新地川久こと和風作詞)などもあり、歌の部分のみを「新砧」などの前後に付す演奏スタイルもあった。また、胡弓入り三曲合奏としても行われ、歌舞伎芝居の下座などにもとり入れられる。宮城道雄による編曲(「編曲八千代獅子」1952、昭和27)もある。手事の旋律はさまざまに流用され、歌舞伎の下座や長唄「船弁慶」などにもとり入れられる。谷垣内和子(『邦楽曲名事典』平凡社 1994)

2017年8月27日日曜日

「而今の会」ブログへ、ようこそ!!

「而今の会」ブログへのご訪問、ありがとうございます。


「而今の会」とは、Facebookで知り合い、ネット上での三曲合奏「ジョイントweb演奏会」での共演をきっかけとして、山田流の大庫こずえ(長野県)、生田流の東啓次郎(静岡県)、そして琴古流の山口籟盟(福岡県)が結成した三曲のグループです。



居住地や流派、演奏キャリアに左右されず、地歌箏曲を愛する3名が「同志」として、新しいスタイルの三曲の在り方を創り上げようというのが、この会のコンセプトです。


2017年の夏、長野県南信地方にある「飯島陣屋」において、初めての演奏会を行いました。演奏会場、選曲、その他さまざまな打ち合わせや準備、そして何と「下合せ」をも「ネット上」で進めてきました。結成から本番まで、2月から8月までの半年間、このブログにおいて毎週1回リアルタイムで進捗状況を公開してきました。その結果、とても多くの三曲ファンの方々に興味を持っていただき、多い時にはブログの更新ごとに200〜300のアクセスがあったこともありました。

こうした、純邦楽の古典の世界としてはめずらしい「ネット上のもりあがり」とともに、『邦楽ジャーナル』誌、『長野日報』誌、信越放送SBCラジオ局等から取材を受け、三曲界、そして会場のある長野県南信地方にもこの会での取り組みをご紹介いただいたのは、望外の幸せでした。


今回の「而今の会」における取り組みが、演奏人口減・入門者減となり現状の打破の必要性が叫ばれている純邦楽・三曲の世界に対する一つの「提案」として、多くの人々にご覧いただけましたならば幸いなことと存じております。ですので、これまで更新してきたブログ記事は「記録」としてネット上に残し、似たような取り組みを試みたい方や、あるいは「而今の会」以上に新しい純邦楽・三曲の取り組みをやってみようという方に見ていただき、もしご参考になるところがあればご活用してもらい、ひいては邦楽界全体の活性化に少しでも貢献できるのであれば、「而今の会」としても大変光栄なことであります。


ブログのトップページとなるこの場所に、これまでの記事のインデックスを掲載しておきます。ブログの特性上、一番末尾から折り返してお読みいただければ時系列通りの更新状況がご覧いただけるとは思うのですが、ブログ冒頭に記事タイトルとその概要をまとめ、ご覧になりたいページに直接移動できるようにしておきますので、興味を持たれた記事のところをクリック頂いてもよろしいかと思います。



演奏会の終演後にもかかわらず、こうして当ブログをご訪問くださり、これまでの記事に目を通して頂きますことに、而今の会一同、心より感謝申し上げます。どうもありがとうございます。



〜〜〜〜「而今の会」ブログ・記事INDEX〜〜〜〜

☆「而今の会」結成、そのコンセプトに関して
【「而今の会」始動!!】H29.2.23
【「而今の会」メンバー・プロフィール】H29.2.25
【「而今の会」への思い】H29.3.5
【「生演奏」のよさ】H29.3.12


☆メンバーの自己紹介
【東 啓次郎只今参上‼】H29.3.18
【原点回帰のきっかけはFacebook(大庫こずえ)】H29.3.25
【兼業尺八家・山口籟盟】H29.3.26

【ネコと私(東)】H29.4.30
【兼業尺八家・山口籟盟の日常】H29.5.6
【たまたま母の日(大庫)】H29.5.14


☆会場選定、下見関連
【8月は甦る伊那県庁 飯島陣屋にタイムスリップ】H29.3.19
【会場の「飯島陣屋」とは】H29.8.4


☆曲目発表、およびメイン曲「笹の露」について
【曲目発表!!】H29.4.1
【「笹の露」を弾く…】H29.4.9
【箏から目線の笹の露】H29.4.16
【酒 復称笹の露】H29.4.23


☆「笹の露」オンライン下合せ
【いよいよ、「笹の露」のオンライン下合せへ!】H29.5.20
【「笹の露」尺八の難所】H29.5.27
【東版「笹の露」オンライン下合わせ】H29.6.12
【「笹の露」後の手事・オンライン下合せ】H29.6.17
【「笹の露」中歌のオンライン下合せ】H29.6.25
【「笹の露」オンライン下合せ・ついに完成!!】H29.7.17
【「オンライン下合せ」の舞台裏 1】H29.7.22
【「オンライン下合せ」の舞台裏 2】H29.7.29


☆新聞、ラジオ、雑誌等メディア取材
【今日はラジオ番組収録】H29.6.17
【而今の会のジャーナル記事の事】H29.7.1
【邦J・8月号「古典をじっくり味わう」コーナー】H29.8.1
【長野日報】H29.8.15
【うえだ・城下町ぶらり散歩H29.8.12】H29.8.16


☆本番関連
【而今の会・本番前日!!】H29.8.17
【而今の会の本番!】H29.8.21


☆その他の話題
【今週は、ブログ更新をお休みしております…】H29.6.2
【而今(にこん)の会、チラシの完成】H29.7.2
【多彩で個性的な生田箏】H29.7.9
【而今の会より、みなさまへ】H29.8.11


☆エピローグ
【「而今の会」結成〜葉月の陣屋をふりかえって】H29.8.25

2017年8月25日金曜日

「而今の会」結成〜葉月の陣屋をふりかえって









何だか、1週間前の本番が「夢」のようだというか、高校時代の部活の最終試合後の引退とか、大学時代の定期演奏会をやり遂げたあとのようなやりきった感と、終わった後の物寂しさとを感じている今日この頃です。


「既存の三曲の在り方からブレイクスルーした、古典の演奏会をやりたい!」

そんな思いを、この本当に類い稀な縁というか、やっと巡り合えた「同志」とともに達成できたのは、僕としてはこれまでの邦楽人生の中で最も幸福なひとときでした。

2月に「而今の会」を結成し、曲ぎめ、会場ぎめ、ブログでの情報発信、演奏会準備と、3人で力を合わせて、半年間かけて共に創り上げてきました。本当にあっという間でした。今もまだ、「えっ、本番終わったの!?」と信じられない自分がいます。それくらい、集中して燃え続けてこられた半年間だったんだと思います。


また、この半年間、本当にたくさんの方に活動に共感して頂き、応援して頂いたことは、大きな励みとなりました。まわりの皆様に盛り上げて頂いた「而今の会」だったなぁと、あらためて感じております。本当にありがとうございました。


「而今(にこん)」の語の意味通り、「もう、思い残すことはない!」と言い切れるくらい、充実した「やりきった感」があると同時に、僕としては「またこのメンバーで演奏したいなあ」という願いも持っています。メンバー同士の住まいが遠いため、頻繁に演奏会の開催などは難しいのですが、いつかきっとまた、第2弾の「而今の会・演奏会」をやってみたいなと心から思っています。その時には、是非とも足をお運び頂けたら嬉しいなと願っています。

しかし、現段階ではとりあえず、「1stシーズン」とでもいうか、「結成~葉月の陣屋」が一区切りしましたので、二月の結成からの「毎週更新」のブログも、一度「お休み期間」に入ります。その間は、ブログのトップに、これまでの活動の「インデックス」のような形で、これまでの記事を整理したリンク集を付けておきたいと思いますので、もしまた「而今の会の活動、どんな感じだったか見てみたいなぁ」と思って頂きましたら、ぜひこのブログに遊びに来てください。

あわせて、この「而今の会」をきっかけにして、これまでの慣習にとらわれない、自由な古典三曲の演奏会やグループの結成などが出現しましたなら、僕たちも本当に嬉しいです。そうしたムーブメントを期待しながら、結成段階から準備、練習、そして本番まで逐一「舞台裏事情」もどんどんオープンにしてきたわけですので、もしこうした取り組みを志す方がおられましたら、ぜひご参考にできるところは利用して下さいますよう、よろしくお願い致します。


この「熱い」夏の演奏会の思い出を胸に、いつかまた「2ndシーズン」の実現を願いながら

どうもありがとうございました。



山口籟盟





今回は、現実的には下合わせを出来ない地理的環境の者同士が SNSの活用により交流を深め 本番の演奏会を実現するという、なんとも現代的な物語りを作ってしまった我々でした。
リハーサルでは何ともなかったお三絃が 本番を迎えた時には お天気のイタズラで糸が伸びるは伸びるはあんなにも(おそらく数10回)弾くたび毎に糸巻きを締め上げながら演奏し続ける羽目になるとは思ってもみなかった事。
これまでの経験でも初めてのことでした。

行燈の灯だけ 夏の夜の開け放った日本家屋のお座敷。
設定は大成功でしたが、昨今の不安定なお天気には抗いようがありません。
神様に試練を与えられたと解釈しています。
経験すべてが芸の肥やし。
こうして通り過ぎた何もかもが これからの私の芸の厚みを支えてくれるものと思います。
大きな視野で様々な角度から 常に冷静に客観的に物事を捉えられる自分であれ!という思いを深めたこの夏の出来事でした。

大庫こずえ




芸歴30年の経験で最も強烈な出会いの一つが
この而今の会なのです。
山口さんのリードとナビが非常に細やかで、
上手に大庫さんと機械音痴の私を導いて
下さったおかげでオンライン下合わせを確立
出来たのです。
普通なら絶対に一つ所に出向いて何度か
面と向かって合わせる事をするのを、
三者三葉住むも活動するも全く異なる中でも
ネット上で合わせる事が出来るとは全く想像だに
してませんでした。
それと、今の時代の事ですから曲も現代曲で
行くのかと思いきや、そこは堂々と古典で合わせる
形で発信したのが特色なのだと。
そのおかげで、笹の露がとても落ち着いて
最後まで合わせられた事が何よりも得難い経験
でした。
初めての大曲でしかもお箏で挑んだ46歳の
自分に勇気が出ました。
この出会いは何物にも代えられません。

東啓次郎



本番翌日の『長野日報』誌に、「而今の会」を取り上げていただきました。

2017年8月21日月曜日

而今の会の本番!【演奏動画付】

「而今の会」の本番から3日が経過しました。
本番当日の様子を振り返りながら、写真や動画でまとめてみたいと思います。





昼過ぎに会場に到着!
「飯島陣屋」、本当に写真で見たとおりでした!!
長野県南信地方の、低くどっしりと構えた日本建築。
重厚感がありました。





地元ボランティアの方が、綺麗に舞台設営をしてくださいました。
実は、この舞台、毛氈の下のかさ上げ部分は…

…なんと、「ビールケース」なんです!!






今回ありがたいことに、「而今の会」にお花や祝電等を頂きました。
本当に嬉しかったです。ありがとうございます!!
舞台横に飾らせて頂きました。




着物に着替えて、記念撮影!!


そして、リハーサル!











われわれ「而今の会」メンバーも、野点薄茶席を堪能させていただきました。
お菓子は、この会だけのための特注品だということです。
おいしゅうございました。







地酒「今錦」さんの呑みくらべ。




いざ、本番!!



「秋の七草」


「黒髪」


そして、ついに「笹の露」です!
実際の演奏動画です。
ちょっと暗い映像ですが、実際に見えていたのはこんな感じだと思います。
どうぞ、ごらんください!!





お客様の中には、インターネットやFacebookを見て、遠方の県からわざわざ足をお運びくださった方もおられました。本当にありがたいことでした。
心より御礼申し上げます。




3人で打ち上げ!!
もう、いろいろ語り合いましたよ。


本当にありがたい1日でした。

2017年8月17日木曜日

而今の会・本番前日!!

こんにちは、山口です。
今日は8月17日!
本番前日です!!

今日は大庫さんのお宅でリハーサルを行うことになり、
山口・東さんがJR岡谷駅で合流して、駒ケ根まで向かいました。





途中、伊那市の丸亀製麺に立ち寄り、腹ごしらえ。
山口もですが、東さんも丸亀製麺の讃岐うどんがお好きで、
よく召し上がっておられたようです。
ふたりして「特盛」を完食!!





そして、ついに……


「而今の会」、全員集合!!!




全曲、リハーサルに励みました。
やはり、「オンライン」ではなく、実際の合奏は本当に楽しいです!!







リハーサル後は、大庫さんが駒ケ根名物・ソースかつ丼のお店に連れて行って下さり、
決起前夜祭を行いました。
邦楽談義に花が咲きました!!




お店からの帰り道、JR駒ケ根駅前ロータリーで、
木々に美しい桃色の花が咲いていました。
「なんの花でしょうねぇ…?」
と聞いてみると、東さんが
「さるすべりの花ですよ」

…さるすべりの花!?
東さんの博学には、あらためてびっくりしました。
たしかに、幹はツルツルでした。



2017年8月16日水曜日

うえだ・城下町ぶらり散歩H29.8.12

信越放送SBCラジオの「うえだ・城下町ぶらり散歩」H29.8.12オンエアーの録音です。

「而今の会」大庫こずえが出演し、「しるしプロジェクト」や「而今の会・演奏会」についてインタビューを受けています。

どうぞ、お聞きください!